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100Gbpsキャプチャ用ポータブルマシン

SYNESISは東陽テクニカ自社開発製品の開発を担う社内カンパニー「ワン・テクノロジーズ・カンパニー」のもとで日々開発をおこなっています。2015年に世界初の100G対応パケットキャプチャを開発し、発売するに至るまでの開発背景について、R&Dチームがブログでご紹介しています。

 

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我々は2015年6月に世界で初めて100Gbps対応のパケットキャプチャ/解析システムを開発し、発売を開始しました。今回は、本日(※1)時点でも世界で唯一の製品である100Gbpsのトラフィックをキャプチャ可能な、パケットキャプチャ製品SYNESISのポータブルタイプの、その開発の背景について少しご紹介したいと思います。

 

 

まず、パケットキャプチャ装置が必要になる状況について少し考えてみてください。

 

ネットワークで障害が発生し、パケットのキャプチャが必要な場合、どうしますか?最も多い回答は、ノートPCを持ち込み、Wiresharkでキャプチャすることでしょう。

 

しかし、ネットワークの回線が10Gbps以上の場合はどうでしょうか?Wiresharkはキャプチャしたデータをメモリ上に展開するため、高レートのトラフィックではすぐにフリーズしてしまいます。パケットを取りこぼさないという保証もありません。そのため、10Gbps以上の回線に対してWiresharkでキャプチャすることは全く現実的ではないと言えます。

重厚なラックマウントタイプのパケットキャプチャ装置を使用するのは良い選択です。長期間のキャプチャデータ保存が可能であるため、トラフィックを詳細に解析して問題点を導き出し、スムーズな問題解決につなげることができるでしょう。

 

しかし、そのネットワークにキャプチャ装置が取り付けられていない場合はどうでしょうか?新たにラックマウントタイプのパケットキャプチャ装置を購入し、現場に取り付けますか?しかし、これではキャプチャを開始できるまでに時間がかかりますし、取り付け箇所毎にコストがかかってしまいます。

 

そんな時にポータブルタイプの出番です。ポータブルタイプの魅力は何と言っても可搬性からくる手軽さです。1台所有していれば、どこで障害が起きようと、すぐさま現地に行ってキャプチャを開始できます。

ここまでは一般的なポータブルタイプのパケットキャプチャ装置の話であり、1Gbps/10Gbpsの回線であればフルレートキャプチャ可能な従来製品もあります。ただ我々が課題として捉えたのは、2014年時点でも「来るべきネットワーク」と言われていた100Gbpsの回線に対し、ポータブルタイプの手軽さをいかに提供するかということでした。様々なメーカーに実現してくれるよう交渉しましたが、残念ながら1Gbpsと10Gbpsの世界がメインだった当時は、どのメーカーも「時期尚早」な100Gbps対応のポータブルタイプには見向きもしてくれませんでした。

そこで我々は、新たなキャプチャ製品をチームで一から開発することにしました。

 

Feature(特筆すべき点)


・Portability(可搬性)

本製品は100Gbpsのキャプチャ性能を持ちながら、可搬性があることが最大の特徴です。「可搬性がある」ということは、持ち運べるだけの軽量化がなされており、かつ搬送時の衝撃に耐えられる耐久性を持っている、ということです。我々は、HDDよりも物理的な衝撃の影響を受けづらく、かつ軽量なSSDを採用し、専用の筐体に取り付けることでこれらを達成しました。

SYNESISをキャリーケースに入れて一人で現場へ向かい、パケットをキャプチャします。モニタ、キーボード、タッチパッドも筐体に付属していますので、他には何も必要ありません。その場でトラフィックを解析することも、一旦持ち帰って別アプリケーションを使用することもできます。PacketReplayer®(※2)を使用し、ラボの検証用ネットワークにキャプチャしたパケットを流すこともできます。しかも、キャプチャした100Gbpsのレートそのままに!

ご所望とあれば、長距離の輸送用にハードキャリーケースのご用意もあります。

 

・Performance(キャプチャ性能)

これはSYNESISにおいて最も重要な要素です。SYNESISはワイヤレートでの100%キャプチャを妥協せず追求しています。しかし、可搬性との両立は簡単ではありません。

キャプチャ性能のボトルネックは通常ストレージの書き込み性能です。100Gbpsのトラフィックをキャプチャする場合、単純計算で12.5GB近いデータを”毎秒”保存しなくてはなりません。ご自身のPCストレージへのアクセスを想像してみてください。12.5GBのデータのコピーには一体どれだけの時間がかかるでしょうか?100Gbpsのレートに耐えうる性能を持ったストレージを用意することがどれだけ難しいか、ご想像いただけると思います。しかも、これを長時間継続して達成し続けなければなりません。

ポータブルタイプの場合、スペースの問題でラックマウント型のように多くのストレージを内部に持たせることができません。そのため、ラックマウント型よりもさらにストレージ性能の問題が顕在化します。

我々は、できる限り小さいスペースに多くのディスクを搭載できる100Gbpsキャプチャ専用の筐体を開発し、できる限り少ないディスクで性能を達成するためのSSD性能評価を繰り返し、効率の良いデータ書き込み方法を模索し(別ブログ記事参照 )、ポータブルマシン上での100Gbpsトラフィックフルレートキャプチャに成功しました。
何度も言うようですが、この記事を書いている時点では世界唯一です。

並列化とロードバランスを用いたデータ書き込み

 

 

Challenge(課題)


・Heat Issue(発熱の問題)
通常、熱の問題を意識することはあまり多くありません。ラックマウントタイプであれば、十分なエアーフロースペースにより簡単に解決できる問題です。しかし、ポータブルタイプでは上述のように、できる限り小さいスペースに多くのディスクを搭載する必要があります。必然、パーツの密度が上がります。SSDの発熱というのはHDDよりも小さなものですが、多くのSSDには、温度がある一定のしきい値を超えるとSSD内部のコントローラが性能を制限してしまう、という特性があります。これはキャプチャ性能に致命的な影響をもたらします。さらに、キャプチャカードやトランシーバの発熱も相当なものです。

SSDの使用温度範囲を超えたことによる書き込み性能の劣化

 

我々はラックマウントタイプでの経験を生かし、本製品発売の1年近く前にはポータブルタイプ用の筐体上で100Gbpsキャプチャ性能を実現していました。しかし、そこからが苦難の道のりでした。当時は性能を優先して厚さ15mmのSSDを使用していましたが、発熱量が多く、耐用温度も他SSDより相対的に低かったため、どうしてもそのままの筐体では熱の問題が解決できなかったのです。これを受け、現在のものよりも20%程大きな筐体を新たに試作し、一旦は熱の問題が解決されました。しかし、それは残念ながら持ち運びには難しいサイズ・重量のものとなってしまいました。これでは我々の目的は達成されません。そのため、SSDの選定から改めてやり直すこととなりました。

 

その後、厚さ7mmのSSDを選定し直し、筐体全体のエアーフローの改善を続け、我々は一般的な使用温度範囲である35℃までの環境で使用可能なポータブル製品を完成させました。もちろん、可搬性と十分なキャプチャ性能は残した上で、です。ディスクを格納するディスクベイにもファンが取り付けられ、エアーフローを最適化します。これにより、(多少のファン回転音は鳴りますが)長時間キャプチャを行っても性能劣化を起こさずに使用することができます。

 

Future(今後)


これから先、まず我々が目指していくのはBidirectional 100G、つまり200Gbpsの性能です。現在主流であるPCI Express 3.0は、規格上1レーンあたり8GT/s、16レーンのスロットでも128GT/s、つまり128Gbps未満のスループットまでしか到達できず、そこがボトルネックとなっています。PCI Express 4.0に対応したマザーボードが使用可能となれば、1レーンあたり16 GT/s、16レーンで256GT/sのスループットが可能となります。

既に我々のマシン上ではストレージ性能はボトルネックではありません。PCI Expressなど周辺の環境さえ整えば、200Gbpsの性能も手の届きそうなところまで来ていると言えるでしょう。

※1 2018年10月25日時点

※2 PacketReplayer®はキャプチャされたデータを再生し、検証環境上でキャプチャ時のトラフィックを再現することができる機能です。

 

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