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SYNESISの導入事例

SYNESISの導入事例

SC18での日米100G接続による 国際公開実験におけるSYNESISの活用について

 

 

移動系アクセスの5G化やIoTの進展に伴い、通信サービスの「大容量化」と「サービスの多様化」がさらに進むと予想されています。この「大容量化」と「多様化」に同時に対応するため、アラクサラネットワークスが新たに開発したノードアーキテクチャを基に、慶應義塾大学アラクサラネットワークスSC18(Super Computing Conference 2018)※1において共同公開実証実験を行い、次世代ネットワーク像を一つの在り方を示す画期的な提案として国際的な評価を得ました。本記事では、本実証実験の内容のご紹介とともにSYNESISの参画についてご紹介します。(以下敬称略)

※全文PDFはこちらよりダウンロードしてください。(ダウンロードには東陽テクニカ会員サイトへのログインが必要です)

 

 

※1 Supercomputing Conference(スーパーコンピューティング・カンファレンス、スーパーコンピューティング会議、SC)は、1988年よりIEEE Computer SocietyとACMによって主催されている、アメリカ合衆国で毎年開催されているスーパーコンピューティングに関する世界最大規模の国際会議です。

 

【共同実証実験概要】

 アラクサラネットワークス株式会社は、日本電信電話株式会社(NTT)、慶應義塾大学と共同で国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)委託研究 「光トランスポートNWにおける用途・性能に適応した通信処理合成技術の研究開発」を行っています。その中で、アラクサラネットワークスは、通信性能や機能を柔軟に変更できるノードアーキテクチャを開発しました。

これは、100Gbps超級のインタ-フェース上で、通信ノードの高速性を保ちつつ、通信サービスの内容に応じて柔軟に仕様と機能を変更することを可能にするものです。これにより、ネットワーク構成を変更する際にも、プログラムの変更のみで対応することが可能となり、高速で大容量かつ多様な通信サービスに柔軟に提供することが可能となります。新サービスの誕生や、需要の急激な変化時にネットワークの物理構成を変える必要がないため、ネットワークの通信設備投資や維持管理コストの削減が可能となります。

 

例えばトラフィックの変動で、需要が大きくなると、別なモジュールに機能を追加できるスケールアップ機能や、複数の機能を数珠つなぎにして(サービスチェーニング)複雑な機能を実現したり、さらには、状況によってダイナミックにルートや処理内容を変える機能も研究開発を行っています。

 

 

サービスチェーニング機能においては、NICTの受託研究において、ある場所にあるルータに、メトロ領域にある他のノードにある機能をリモートでマウントして使う方法(実際は、光のダイナミックなパスを用いて遠隔にサービスチェーンをつくる)も研究しており、ネットワーク全体に分散した機能を自由自在に組み合わせてサービスをフレキシブルに実現することを目指しています。

 

また、状況により変更可能なダイナミック変更機能は、急激なトラフィック量の変化に基づき、シーケンスを分析するモジュールや、DPI(Deep Packet Inspection)でパケットの中身を検証するモジュールに被疑フローをリルートできる機能も実装しています。そうすることにより、例えばネットワークに対する攻撃があった場合にその攻撃内容を検証することなどが可能となります。

 

2018年11月に行われたSC18において、アラクサラネットワーク、慶應義塾大学は、本製品の特長を応用し、NICTの日本と北米をつないだテストベッドを活用しながら、UTD(テキサス大学ダラス校) を中心として、米国ベンダー、キャリアと国内ベンダーと協力、接続して1)マルチプロトコル処理 2)ネットワーク可視化 3)自動運転のネットワーク制御 4)マルチベンダーによるWhiteBoxのオーケストレーションの4つの実証実験を、日米を100Gbpsで常時接続をした公開実験により行いました。

 

 

1)マルチプロトコル処理

この機能は、変更自在なノードの機能を用い、一つの物理ハードウエアを自由に変更して行うものです。

JGN※2等が提供する日米間100Gbps、および日本国内のJGNおよびSINET5※3を活用、通信サービスに応じて通信ノードを再構成し、UTD(テキサス大学ダラス校)(Prof. Andrea Fumagalli)が行ったマルチベンダーROADMによるWhiteBoxのオーケストレーション実験や、慶應義塾大学による自動運転におけるエッジコンピュータからの制御実験など、プロトコルを動的に切り替えて通信が行えることを実証しました。

 

※2 NICTが提供する、ICT開発の基盤となる超高速研究開発ネットワーク

※3 学術情報ネットワーク(SINET)は、日本全国の大学、研究機関等の学術情報基盤として、国立情報学研究所(NII)が構築、運用している情報通信ネットワーク

 

2)ネットワーク可視化

通信処理モジュール内のハードウェアリソースを柔軟に再構成する機能を活用し、ネットワークのトラフィックを収集、アラクサラネットワークスの製品(AX-SensorおよびAX-Collector)で可視化することにより、100Gbpsワイヤースピードでリアルタイムに、どの国からどの国へ通信が行われているかを可視化できることを実証しました。この実験では、100Gbpsという高速をワイヤースピードで観測できることと同時に、異常時に自由にネットワークにプローブを挿入してトラフィックをモニターしたり、タップ、折り返し設定をすることができる、あたらしい形の保守運用方法を提示しました。

 

3)自動運転制御

日米間でクラウドサーバネットワークとエッジサーバネットワークを構築し、テキサス大学ダラス校(UTD)のオーケストレータ、及び、アラクサラの再構成可能通信ノード内のリソースプールを含んだ複数のサーバ群を協調動作させることで、自動運転エージェント(各車に搭載された制御用プログラム)そのものが、運転対象の自動車の走行に追随してネットワーク上(エッジコンピュータ)を移動する、ネットワークアシスト型の自動運転プラットフォームのコンセプトを示しました。また、5Gネットワークを使うことにより、エッジからの制御遅延を最小にしたまま、走行が可能です。自動運転では、安全な運行のためにエッジの制御と自動車の間の通信遅延を最小限に抑えることが重要であり、無線アクセスのみではなく、制御そのものや、エッジコンピュータの位置が最重要な要素となります。

 

4)マルチベンダーオーケストレーション

SC18では、米国UTD(テキサス大学ダラス校)が中心となり、Whiteboxのオープンアーキテクチャのコンソーシアムと共同でROADM(reconfigurable optical add/drop multiplexer)を複数台接続し、100Gbpsの日米リンクとも接続し、ネットワークを構築しました。この、環境下においてUTDはオーケストレータを構築し、慶應義塾大学と共同で、データセンターのラック間の交流トラフィックにおける巨大フロー(エレファントフロー)を検出した場合、ROADMにより光パスを接続することをデモしました。

 

5)実証実験総括

上述の1)~4)の実験を会期中それぞれ滞りなく実行することができました。またサービス間、国際間での通信ノードの切り替えも実行でき、現在もさらなる高度化を目指して継続して実験を行っています。

 

【本実証実験における課題】

今回は当社が開発した再構成可能通信ノードの可能性を、短期間ながらできるだけ多く見つけることが目標でした。通常単独の企業が行う実証実験でも、正確な事象を確認することは非常に難しく細心の注意を払います。今回は、世界的な国際会議ということで、期間が限られ、新規開発している通信性能や機能を柔軟に変更できるノードアーキテクチャという新技術の性格上、インタフェース条件やAPIといった部分が、他社と相互接続しにくい要素が多い部分になります。このように、複数の実証実験を、複数の企業および団体と連携し、超高速のリンクを用い国際間で同時に行うという複雑かつ大きなチャレンジが必要となるものでした。

例えば、今回の実験ではマルチプロトコル処理、ネットワーク可視化、自動運転いずれの実験においても国際間の100Gbpsネットワークを活用しています。同時にこれらの実験を行う際トラブルが発生した場合、どの実験でトラブルが発生しているのか正確な事象を確認するためには、100Gbpsのネットワークをいろいろなポイントで順番に切り分けながら、可視化する必要があります。そこで、100Gpsをポータブルで提供している東陽テクニカのSYNESISに協力を要請しました。

(アラクサラネットワークス 村中様)

 

特に自動運転の制御実証実験においては、自動運転車制御用プログラムをテキサス大学やさらには北米最大級のデータセンターであるViaWestへ100Gbpsクラスで転送しています。ネットワークを構築するためには、会議の直前でデータを流しながら、各検証用のタップに測定器を設置して、測りながら実験を行います。100Gbpsを可搬で測定できるSYNESIS Portableは、大学院の学生でも半日もしないうちに自由自在に使いこなせました。(慶應義塾大学 山中直明教授)

 

今回国際間の100Gbpsネットワークを日本に常時接続し多くの日本の友人たちと短期間で実験を行うことができ、私たちにとっても大きな収穫を得ることができました。今回の、公開実験デモでは、プログラマブルノード、エッジコンピュータ、さらに、自動運転車(日本には実際に走るテストベッドを構築)などの最新のアプリケーションをライブで実験できました。(テキサス大学ダラス校 Prof. A. Fumagalli)

 

【SC18における実証実験の様子】

 

【パケットキャプチャ装置「SYNESIS」とは】

ネットワークを流れるトラフィックをキャプチャし、その統計やパケットの翻訳を表示するLANアナライザで、高トラフィックの通信障害解析を目的とした大容量パケットキャプチャ/解析システムです。

100ギガビット/秒でも全てのパケットを長期間ロスすることなくキャプチャし続けることに世界で初めて成功し、現在も100ギガビット/秒をキャプチャできる世界で唯一の製品として、世界中で販売を行っています。

また2018年8月には搭載技術である “データ書き込み装置及び方法” で特許を取得いたしました。

主要なイーサネット規格1G/10G/40G/100Gに対応した全17モデルを取り揃え、高速大容量であってもとりこぼしなくキャプチャできること、サポート体制が充実していることなどから、国内外の通信会社をはじめ、金融や官公庁を中心に多くのお客様に採用されています。

 

ロスしないパケットキャプチャ力

高速な100ギガビットイーサネットでもとりこぼしなく100%確保

高速なパケット抽出力

ディスク書き込み時にインデックス情報を同時に保存、検索する時間を大幅に短縮

-蓄積したパケット情報から必要なデータを高速で抽出・解析可能

用途に応じた豊富なラインアップ

主要なイーサネット規格1G/10G/40G/100Gすべてに対応し、ポータブル型、ラックマウント型を合わせて全17種類をラインアップ

※製品に関する情報は2019年2月時点のものです。

 

出典:

慶應義塾大学ウェブサイト

慶應義塾大学 山中直明教授ウェブサイト

アラクサラネットワークス株式会社ウェブサイト

学術情報ネットワークSINET5ウェブサイト

 

<慶應義塾大学について>

慶應義塾大学は10学部14研究科(大学院)を擁する総合大学です。理工学部は1939年に藤原工業大学として開校し、1944年に慶應義塾大学工学部となりました(1981 年に現在の理工学部に改組)。理工学部は11学科を擁し、各学科が協力・啓発し合い、より高次の成果を発現することで新たな科学技術の創造(創発)をめざしています。

 

<アラクサラネットワークス株式会社について>

アラクサラネットワークス株式会社は、「快適で安心して使えるネットワークを世界の人々に提供し、豊かな情報通信社会の実現に貢献」を企業理念としています。情報ライフラインを支える概念としてギャランティード・ネットワークを提唱し、ネットワーク構築に必要な基幹系ルータおよびスイッチの開発から設計、製造、販売、保守のサービスを提供しています。

 

 

<株式会社東陽テクニカについて>

東陽テクニカは1953年の創立以来、世界最高水準の“はかる”技術の提供をコアコンピタンスとし、最先端の測定機器の輸入販売と自社開発製品の提供によって、官公庁、大学ならびに企業の研究開発を支援してきました。技術分野は、情報通信、自動車計測技術、環境エネルギー、EMC(電磁波障害)試験、海洋調査、ソフトウェア開発支援、メディカルなど幅広く、米国や中国の現地法人などを通じて世界にも提供しています。

また、2016~2017年にかけて新しい3組織「セキュリティ&ラボカンパニー」「技術研究所」「ワン・テクノロジーズ・カンパニー」を設立。サイバーセキュリティサービスの提供、自動運転車の開発支援、AI(人工知能)を使ったデータ解析など、新しいソリューションの創造に取り組んでいます。

東陽テクニカは「“はかる”技術で未来を創る」のスローガンのもと、これからも産業界の発展と安全で環境にやさしい社会づくりに貢献してまいります。

株式会社東陽テクニカ Webサイト:https://www.toyo.co.jp/

パケットキャプチャ装置「SYNESIS」ブランドサイト:https://www.synesis.tech/cms/

 

※全文PDFは本記事のこちらよりダウンロードしてください。(ダウンロードには東陽テクニカ会員サイトへのログインが必要です)

 

※本資料に記載されている内容は、2019年2月4日現在の情報です。製品情報、サービス内容、お問い合わせ先など、予告なく変更する可能性がありますので、あらかじめご了承ください。

 

※記載されている会社名および製品名などは、各社の商標または登録商標です。